7月3週の主なできごと
・安保関連法案、衆院本会議で可決(7月16日)
・東芝の不適切決算、社長は辞意表明へ(7月17日)
・ピース又吉、『火花』が芥川賞を受賞(7月17日)
・新国立競技場の建設計画見直しを表明(7月17日)
・プレミアム商品券「完売御礼」、各地で行列(7月18日)
自民党メディア戦略の落とし穴
おぐらりゅうじ(以下、おぐら) 安全保障関連法案での世論を無視した強行採決で、自民党は支持率を急落させています。さらにその衆院可決の翌日には、総理裁定で新国立競技場の建設計画を白紙に戻すと発表しました。
速水健朗(以下、速水) かなり慌ただしいね。
おぐら 安保関連に関しては、安倍首相の「ん? 世論? 何それ?」と言わんばかりの開き直りっぷりが凄まじくて、まだまだこれで終わりってわけにはいかなそうです。
速水 安全保障の話がどうしても民主主義と相性が悪いというのはあるけど、安倍政権の動向を見てると、この件に関してやたらメディア報道にナーバスになっているよね。
おぐら 議会制民主主義の問題とか、論点はいろいろあるのですが、今回はメディア関連の話をしましょうか。まず、NHKが15日の安全保障関連法案の締めくくりの総括質疑を中継しなかったことに、「そんなの公共放送じゃない」という批判が集中し、翌16日の衆院本会議では予定を変更して中継を行いました。
速水 NHKはすでに政府の「アンダーコントロール」な存在なのだとしたら、さすがに問題でしょ。
おぐら ジャーナリストの津田大介さんも、NHKに関してTwitterでこんなことを書いてます。「NHKのある若手ディレクターは集団的自衛権の特集企画を上げたけど、上司からOKが出ないと嘆いていた。手を変え品を変え様々な切り口で提案しても拒否される。理由を尋ねても教えてくれない。」(津田大介 twitterより)
速水 安倍首相とNHKとのメディアウォーズというか、メディアへの政治介入問題は以前からずっと続いていたけど、さらにここ最近のNHK会長の交代、経営委員会の問題、さらに紅白のサザンの謝罪問題を見てると、政治との微妙な関係が露呈してきた感じがする。
おぐら NHKだけじゃないですよね。6月27日深夜の『朝まで生テレビ!』では、出演を予定していた与党議員が直前になって出演をキャンセルしたというので話題になりました。
速水 このときも安保法案がテーマ。自民党がいかにこの問題でメディアとの関係にナーバスになっているかがよくわかる。
おぐら 速水さんはその日の『朝生』見ましたか?
速水 うん。冒頭だけはドタキャンした自民ひどいって話になりかけてたけど、次第に田原総一朗はじめ、壇上の評論家がみんなでその場にいる民主党と維新の会を追求するっていう回になってた。
おぐら 出演していた政治家以外のゲストが、猪瀬直樹さんや荻上チキさんでしたね。
速水 この2人の戦闘力が議員たちよりも圧倒的に高くて、さらに馬鹿だと思われていた杉村太郎ですら切れ味鋭く野党議員たちのダメさに突っ込むという展開(笑)。自民党を突き上げるつもりで来た野党議員たちが完全に玉砕。結局、ボイコットした自民が一番得をしたという。