「お母さん」と「お父さん」の意見は違っていていい
小野美由紀(以下、小野)子どもにとって「お母さん」と「お父さん」は、やっぱり違うものなんでしょうか?
奥谷まゆみ(以下、奥谷)この本には「お父さんが〜」っていう話が全然出てこないでしょ。
小野 そこのところが気になっていて。
奥谷 「お母さん」と「お父さん」は役割が全然違うんだよ。たとえば「ダメ」っていう言葉をお母さんが言うのと、お父さんが言うのとでは、子どもの受け取り方がまるで違う。なぜかというと、子どもにとってお母さんとお父さんは「別の存在」だからなの。 「ボクは育メンだからこの本は不愉快です。ボクだって頑張ってるんだから、お母さんだけじゃなくて『お父さんお母さんが』っていう記述に変えてください」って言われたとしても、私が今までの経験上知った事実からするとムリなんだ。
小野 じゃあ、お父さんの役割は、というと?
奥谷 ざっくり言うと「社会性」かな。お母さんはある意味、子どもにとっての価値観の元になるような絶対的な存在。だから、お母さんが「ダメ」って言うことは、子どもも「絶対ダメなんだ」と思うんだけど、お父さんが「ダメ」って言っても「そういう意見もあるか」程度なの。 「世の中にはいろんな価値観の人がいる」ということを知るのはとても大事なことで、子どもの人生で最初に出会う「価値観の違う人間」が、お父さん。子どもが多様な考え方を持つための大事な存在、それがお父さんの一番の役割なんだと思う。そのためにも、お父さんとお母さんの意見は違っていていいし、その方が、子どもの思考の振り幅や世界観が広くなる。
小野 へー。そうなんですね。
奥谷 これは自分の経験からじゃなくて、整体を通してカラダを観たり、お母さん、お父さん、子ども、という家族の関係性を見たりして、わかったことなんだ。たとえば、いろんな事情でお母さんよりお父さんと一緒にいる時間の方が長い子どもに対して、お母さんが「これは黒だよ」、お父さんが「いやいや白だよ」って言ったとする。そうすると、子どもはまず「黒」を取る。これはもう、本能なの。
男の人にホントのことを言わないのが「女のたしなみ」
小野 となると、お父さんが育児に関わるとしたら、どういうスタンスがいいんでしょうか?
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