第8回 売れるマンガの「帝王」学

大ヒットマンガ家・三田紀房さんのマンガ術からプレゼンの極意を学んできた本連載、今回は三田さんのマンガ観に深く迫ります。見よう見まねでマンガを描いてきたという三田さんが、プレゼン術に応用できるような分析的な制作をするようになった転機の作品は、『週刊漫画ゴラク』で連載を始めた『クロカン』でした。(2月21日刊行『プレゼンの極意はマンガに学べ!』(講談社)より先行公開)

 ここで少し、僕自身のマンガ観について話をしたい。

 もともと僕は、マンガを分析的に考えたことなどなかった。
 アシスタント経験もないまま、見よう見まねで描いてきた。それでもどうにか生計が成り立つ程度には食えていたし、さほど向上心があったわけではない。自分の描きたいテーマで作品を描いて、原稿料から毎月の家賃をきちんと払い、ご飯が食べていけるのなら、それで十分だった。
 そんな僕の転機となった作品が、1996年から『週刊漫画ゴラク』(日本文芸社)で連載を開始した『クロカン』である。
 きっかけは、連載初期に担当編集者が持ちかけてきた、次のひと言だった。
「三田さん、せっかくやるなら、読者アンケートで1位を獲りましょう!」

 僕は耳を疑った。
 なぜなら『週刊漫画ゴラク』は、あの金融マンガ『ミナミの帝王』(原作・天王寺大/画・郷力也)が、まさに帝王のように君臨する雑誌で、読者アンケートでも不動の1位を守っていたからである。
 いくらなんでも「帝王」の牙城を切り崩すなんて、無理に決まっている。僕は懸命に拒否したのだが、編集者は「三田さんなら大丈夫です。一緒に1位を狙いましょう!」の一点張りで、まったく譲る気配がない。
 そこまで言われれば、こっちだって意気に感じてくる。意を決した僕は、『ミナミの帝王』を舐めるようにして読み込んでいった。

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes・note会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

コルク

この連載について

初回を読む
プレゼンの極意はマンガに学べ!

三田紀房

人の心を操り、自由自在に動かす最強のプレゼンノウハウは「マンガ」にありました。超人気作品を次々と送り出し、cakesでも『会社に左右されない仕事術』を連載中の漫画家・三田紀房さん。三田さんが、マンガ制作の舞台裏を明かしながら伝授する最...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

Tweetがありません