車内飲食講座—「荻窪ー三鷹」

Twitterのフォロワー6万以上、日々トガったツイートで人々を魅了する鬼才、ダ・ヴィンチ・恐山(品田遊)。
初の小説『止まりだしたら走らない』の発売を記念して、大幅加筆版を連載! 都心から武蔵野の台地を横切り東京を横断する中央線車内を舞台に、さまざまなヒトたちの個人的な問題をあぶり出す連作短編です。 高校の自然科学部で一緒の新渡戸先輩と都築くん。二人は一路、中央線で東京駅から高尾山へ向かいます。

 休日の中央線快速は荻窪を発った。吉祥寺に停まったら、そこからは各駅になる。

 「電車でフリスクは『 あり 』だね?」

 新渡戸先輩が言った。勝手に頭の中で組み立てた話題をいきなりパスしてくるのはやめてほしい。

 「だから、先輩が持ってるのはミンティアです 」

 とりあえず訂正してから、僕は仕切りなおした。

 「それで、何が『 あり 』なんですか」

 「電車内での飲食の話だよ。フリ......ミンティアは『 あり 』だよね?」

 ああ、車内で食べても許されるものかどうかってことか。

  「僕もありだと思いますよ」

 「メントスも」

 「ありでしょう」

 「ポテトチップは」

 「それは無しです」

 たぶん、油ものはダメだ。それを聞いて先輩は、そうなのか、という顔をした。

 「じゃあ、おにぎりは?」

 僕は返答に詰まった。

 「おにぎりは......難しいですね」

 「難しいって? 具によって違うとかそういうことかな。鮭なら無しだけど、高菜ならありとか」

 「そうじゃなくて。人によってあり派と無し派で分かれるから」

 「都築くんはどっち?」

 「僕は電車内では食べないですけど、食べてる人を見かけても別に何も思いません。満員電車ならちょっとダメだと思いますけど」

 「パンも?」

 「パンも同じです」

 「チーズフォンデュ」

 「絶対ダメです」

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止まりだしたら走らない

品田 遊

Twitterのフォロワー6万以上、日々トガったツイートで人々を魅了する鬼才、品田遊(ダ・ヴィンチ・恐山)。cakesでも連載していた「中央線に乗って」が、満を持して『止まりだしたら走らない』として書籍化。7/8の発売を記念して、大幅...もっと読む

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