的なアレなんとなく 』だよ。—「新宿ー中野」

Twitterのフォロワー6万以上、日々トガったツイートで人々を魅了する鬼才、ダ・ヴィンチ・恐山(品田遊)。
初の小説『止まりだしたら走らない』の発売を記念して、大幅加筆版を連載! 都心から武蔵野の台地を横切り東京を横断する中央線車内を舞台に、さまざまなヒトたちの個人的な問題をあぶり出す連作短編です。
高校の自然科学部で一緒の新渡戸先輩と都築くん。二人は一路、中央線で東京駅から高尾山へ向かいます。

 歌舞伎町の街並みが遠ざかって見えなくなったあたりで、先輩が僕に尋ねた。

 「そういえば、都築くんはどうして自然科学部に入ったの?」

 僕はちょっと考えて答えた。

 「いや、普通に生き物とか、好きなんで」

 新渡戸先輩は首筋を掻きながら言った。

 「面白くないなあ。全然、面白くない」

 「動機に面白いも面白くないも無いじゃないですか」

 「忠告しておくけどね」

 先輩は薄ら笑いを浮かべる。

 「そんな画一的な受け答えばかりしているとろくなことにならないよ。そのうちバイトの面接で『 空いた時間を有効に使い、自分の能力を活かせると思って 』と答え、就職活動では『 御社のクリエイティブな社風に惹かれ 』と答え、コンビニ強盗 をしたら『 遊ぶ金欲しさ 』と答え、殺人を犯して『 むしゃくしゃしていた。誰でもよかった 』とか答えることになるんだよ。気をつけたほうがいい」

 さりげなく前科二犯にされた。どうしてここまで言われなきゃいけないんだ。

 「じゃあ、なんで先輩は入部したんですか。野球部やめてまで」

 「......なんとなく?」

 人の受け答えをボロクソに批判しておいて、これだ。

 「全然理由になってないじゃないですか」

 「だから、なんとなく的なアレだよ。逆に言うと『 的なアレなんとなく 』だよ。 あ、今のは『 ラフォーレ原宿 』みたいなのを意識した言い方なんだけれど」

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止まりだしたら走らない

品田 遊

Twitterのフォロワー6万以上、日々トガったツイートで人々を魅了する鬼才、品田遊(ダ・ヴィンチ・恐山)。cakesでも連載していた「中央線に乗って」が、満を持して『止まりだしたら走らない』として書籍化。7/8の発売を記念して、大幅...もっと読む

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