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SFの最先端を奔るイーガン新作—グレッグ・イーガン『ゼンデギ』

海外SFの最先端を疾走するグレッグ・イーガン。その新作『ゼンデギ』が刊行されました。難解なことで知られるイーガンですが、今回のイーガンは「読みやすイーガン」? 人を解放し、また奴隷にもする技術とは――注目の新作をレビュウします。

グレッグ・イーガン『ゼンデギ』(ハヤカワ文庫SF)

■注目の新作

 ゼンデギ زندگی とは、ペルシャ語で生命、生活、生存を意味する言葉だ。舞台は2012年の近過去(原著が出た2010年当時は、直近の未来だった)と、近未来2027年のイラン。テーマはイーガンがこれまで何度も取り上げてきた、「完全に電子化された人間の意識」が存在する意義である。本書では、それがよりリアルな現実社会のうえで提示されているのだ。

 オーストラリア人ジャーナリストであるマーティンは、保守政権下のイランで取材活動をしていたが、強権に対する民衆の反発と新政権の誕生を目撃する。彼らは携帯電話を使ったピアツーピアのネットワークで、通信遮断を克服した。一方、母娘で米国に亡命し、MITで脳の電子的マッピングを目指すヒト・コネクトーム・プロジェクトに従事していた娘ナシムは、人間の完全なコピーについて奇妙な提案を受ける。15年後、イランの世界的なVRゲーム〈ゼンデギ〉では、サッカー選手の脳スキャンをゲーム内人格に取り込み、迫真性を高めようとしていた。

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岡本俊弥

注目のSF関連新刊書籍を、いちはやくレビュウします。

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コメント

117Florian イーガンの「ゼンデギ」 https://t.co/vAWwKGsCUb は「近過去」になっちゃってたのか(執筆時2010年。作内時間2012年)。ややこしい。ま、イーガンの視点の面倒臭さを考えればこのくらいのややこしさは許容範囲内だろうな。 約3年前 replyretweetfavorite

Hayakawashobo 書評更新、です。現代SF界最高の作家、最新作。 約3年前 replyretweetfavorite

maniamariera きょうのcakesでは、岡本俊弥さんによる『ゼンデギ』書評を掲載しています。あたらしいイーガンはほんとうに「読みやすイーガン」?https://t.co/LCtpAiOcmU 約3年前 replyretweetfavorite

maniamariera 話題の新刊SFを、いちはやくご紹介! 約3年前 replyretweetfavorite