毒親、いじめ、性依存……「ふつう」になれない苦しみを乗り越えて

告白エッセイ「死にたいままで生きています。」の第一章のでは毒親、いじめ、性依存……など壮絶な成育過程を振り返りました。著者は、その後、強迫性障害、境界性パーソナリティー障害、双極性障害などを抱え、NHKの福祉番組では思わず「死にたいままで生きています。」と口走って反響に。今回は、そんな真っ暗闇から「生還」した、きっかけを振り返り、同じ苦しみを持つ方へ伝えたいことを語った本書より掲載します。


死にたいままで生きています。(ポプラ社)

「ふつう」になれない苦しみ

この本を書こうと思ったきっかけは、見ず知らずの人がくれた一通のメールでした。

「死にたいと思うことがあります」から始まるそれには、20歳になる女性の胸のうちがつづられていました。

小学校からずっと不登校を続け、今、友達も、仕事もないと彼女は語ります。

「本当は、ふつうのしあわせを噛みしめたい。だけどそれは、自分には夢のような話なのです」と。


「ふつう」―私はずっと、この言葉に苦しめられてきました。

物心ついた時から「ふつうじゃない」と言い表され、それを「個性的」という褒め言葉と受け取ることはできませんでした。

「誰もができること」ができない、「ふつう」にも届かない「おちこぼれ」。

「心の病気」になってからもなお、「ふつう」という概念は、つねに私を支配しました。

治療がうまくいかなければ、「私は、ふつうの病人としても落第した」と治らない自分を責めました。


そんな私が、自分以外の「ふつうじゃない」と呼ばれる人たちと出会ったのは、NHKのテレビ出演を通じて。

その日、「心の病気」だけでなく、「発達障害」、「セクシャルマイノリティー」、「HIV」、「依存症」、「筋ジストロフィー」の面々が一堂に会し、奇しくも誰もが口をそろえて言ったのです。

「ふつうになれない自分に、劣等感を抱いた経験がある」と。

だけど、そう話す彼らの笑顔は、苦悩を経験したからこその、強さとやさしさで溢れていました。


何かをきっかけに「ふつう」を離れた人は、つねに自分に挫折感を抱えてしまいます。

「ふつうのことができないような自分は、世界で一番、いらない人間」と。

そこから、なんとか抜け出そうと必死になった結果、自傷や、依存、暴力や、心の病気など、生きづらさに飲み込まれることもあります。

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死にたいままで生きています。

咲 セリ

思春期の頃から自傷、自殺念慮、依存に苦しみ、強迫性障害、境界性パーソナリティー障害、双極性障害などを抱え、「世界でいちばんいらない人間」だと思っていた「私」が、ありのままを語ります。

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コメント

Doranko_murr どんな人よりも自分と仲良くなることですね。 約4年前 replyretweetfavorite

sizukanarudon 死にたいままで生きています。|咲セリ@saki_seri https://t.co/RARGOLQHd3 NHK福祉ポータル「ハートネットTV」 http://t.co/vr8aQrSAR4 4年以上前 replyretweetfavorite

Tunica_Chiffon こういう女好きなんでしょ 4年以上前 replyretweetfavorite