森三中の「女」の在り処について

今回取り上げるのは、村上知子、大島美幸、黒沢かずこの3人によるお笑いトリオ・森三中。先日、大島が自身の出産シーンをテレビで公開したことが大きな話題となりましたが、本件には女芸人の「おいしさ」をめぐる議論が絡み合っていると武田砂鉄さんは分析します。

「多くの女性に対して何も配慮がない」こと

森三中の大島美幸が、『世界の果てまでイッテQ!』での企画として、第一子の出産シーンを公開した。CCDカメラ付きのヘルメットをかぶり悶絶する顔を映し出す構成に、放送前から「産みたくても子供を産めない多くの女性に対して何も配慮がない」との意見が出ているという記事(アサ芸プラス)を見かけたが、その手の極端な見解を(主に)ネットから引っ張り上げて「……と言っている人もいます」と対論・異論を垂れ流しながら物見遊山するだけの記事ほど「多くの女性に対して何も配慮がない」ものもない。自分たちが批判の矛先とならないような「賛否両論出ています」の提示ってあちこちで散見されるが、提示者たちは逃げ足が速いどころか、元々その場にいないことがほとんどなので掴まえることすらできない。

批判されないための込み入った仕組み

「CCDで出産シーンを撮影するなんて」という意見がわき上がることを想定していた番組は、「息子が人生につまずいた時とかに、お母さんはあなたを命懸けで産んだんだよっていうのを見せてあげたい」という出産前の大島のコメントを用意していた。その上で、実際の出産シーンの見せ方としては、無事出産した感動と同じくらいの容量で「こんな時なのにCCD使っちゃう!」というバラエティとしての面白さを節々に散らしていた。

番組の狙い通り、出川哲朗や上島竜兵では撮りえないリアクション映像を作り出した。出産シーンをバラエティで使うなと思う人もいるだろうが、本人もそれを望んでいるし、それにやっぱりこの職業は面白くてなんぼなのだから撮らない手は無い……と、予測され得る問題視とそれに対する返答とそのやり取りを上回る動機の3種をしっかりブレンドして批判を抑え込む作りをしていた。「出産シーンなんて放送するな」なんてこちらは全く思わないが、そう言われないためにはこれだけ込み入った仕組みが必要なのかと、勝手に疲れてしまう。

なぜ女芸人の胸を揉む男芸人は逮捕されないのか
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365日四六時中休むことなく流れ続けているテレビ。あまりにも日常に入り込みすぎて、さも当たり前のようになってしったテレビの世界。でも、ふとした瞬間に感じる違和感、「これって本当に当たり前なんだっけ?」。その違和感を問いただすのが今回ス...もっと読む

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コメント

unnaturalwoman 【なぜ女芸人の胸を揉む男芸人は逮捕されないのか】 4年以上前 replyretweetfavorite

s115_d718_p69 リアタイで見たから一生ホリケンでは笑わんと思う。 4年以上前 replyretweetfavorite

mshk ”「賛否両論出ています」の提示ってあちこちで散見されるが、提示者たちは逃げ足が速いどころか、元々その場にいないことがほとんどなので掴まえることすらできない。” 4年以上前 replyretweetfavorite

0501Can #森三中 #村上知子 #大島美幸 #黒沢かずこ #女芸人 #イッテQ 4年以上前 replyretweetfavorite