第6回 マンガの「バスの行き先」理論とは?

『ドラゴン桜』、『エンゼルバンク』などの人気作品を多数送り出してきた三田さんも、過去の制作のうえで苦労したことが多々あります。『エンゼルバンク』連載の際にゴールの設定が曖昧なままスタートしてしまったことが、そのひとつです。プレゼンにおいて「バスの行き先」を設定することの重要性を、マンガのストーリー構築のしかたを例に学びましょう。(2月21日刊行『プレゼンの極意はマンガに学べ!』(講談社)より先行公開)

 さて、こうして大上段に構えてマンガのノウハウを語っている僕だが、当然過去の作品を振り返れば反省すべき点は多々ある。

 最近の例でいえば、2007年から2010年まで連載した『エンゼルバンク』という作品が、それにあたるだろう。

 そもそもこのマンガは、「ドラゴン桜外伝」というサブタイトルが示すとおり、あくまでも外伝として、長くて10週程度の短期集中連載としてスタートした企画だった。
 ところが、連載開始直後から評判を呼び、そのまま連載を続けていくことになる。
 ひとりの作者として考えれば、ありがたい話である。自分のマンガが高く評価され、長期連載となり、最終的にはテレビドラマ化までしていただいた。こんなに嬉しい話はないし、感謝している。

 ただし、作品レベルで考えた場合、この「短期集中連載から長期連載へ」という異例中の異例ともいえるシフトチェンジのなかで、歯車が噛み合わなくなる部分があったのも事実だ。
 特に大きかったのが「ゴールの不在」という問題である。
 たとえば『ドラゴン桜』の場合、「東大合格」というとてつもなく大きなゴールがあった。しかもそこには「理科1類をめざせ」という具体性をもったゴールがあり、そのための第一歩として「国語を強化せよ」という直近のゴールがあった。
 マンガの世界において、これらゴールを設定することは「バスの行き先」を表示することにたとえられる。

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プレゼンの極意はマンガに学べ!

三田紀房

人の心を操り、自由自在に動かす最強のプレゼンノウハウは「マンガ」にありました。超人気作品を次々と送り出し、cakesでも『会社に左右されない仕事術』を連載中の漫画家・三田紀房さん。三田さんが、マンガ制作の舞台裏を明かしながら伝授する最...もっと読む

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