人生相談5セント!廃棄物でアートをつくる数学者

アメリカの富豪たちが集まる別荘地・ナンタケット島。景観を守るための厳密な条例が定められ、一定のおだやかな風景がつづくこの島に、一箇所だけ色とりどりのアートに囲まれた「不思議の国」が存在していて……。渡辺由佳里さんが出会った、アートの創造主の正体とは?

元数学者のアーティストがくれた人生アドバイス

アメリカには自治体が個別に定めるゾーニング条例があり、各ゾーンで土地の用途や建築物の条件を細かく規制している。

マサチューセッツ州は全般的にゾーニングが厳しいほうだが、その中でもナンタケット島は特に厳しいことで知られている。建築物のスタイルだけでなく、外装に使えるペンキの色も限定されていて、店の看板もクオーターボードと呼ばれる昔ながらの標識や木製の地味なデザインしか許されない。

だから、島のどこに行っても、写真のような静かな景色が続く。

ところが、わが家からビーチに向かって運転していると、突然条例を無視したような不思議な風景が浮かび上がる。

しかも、5セントの人生相談テーブルまで!(まるで『スヌーピー』に出てくるルーシーだ)。

「人生相談5セント」と書かれたテーブル

「こんなに目立つ場所にゴミを置くな! 景観を妨げる」と眉をひそめる住民も少なくはないが、ここを車で通り過ぎるたびに私の気分は明るくなる。スチームパンク的な森の妖精たちが「やっほ〜。今日も元気でね!」と呼びかけてくれるような気がするのだ。彼らとかくれんぼしてみたいくらいだ。

そんな彼らを生み出しているアーティストにも一度会ってみたいと思っていた。しかし、人生相談のテーブルはいつも空だし、いたとしても「あっちへ行け!」というタイプの世捨て人という可能性もある。 わざわざ出かけていく勇気もないし、会ってしまったがために陽気な妖精たちのイメージが壊れたら嫌だ。

廃棄物から作られたアート作品

迷い続けて何年か経ったある日、新しいアートを庭に配置しているアーティストを見かけた。

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アメリカはいつも夢見ている

渡辺由佳里

「アメリカンドリーム」という言葉、最近聞かなくなったと感じる人も多いのではないでしょうか。本連載では、アメリカ在住で幅広い分野で活動されている渡辺由佳里さんが、そんなアメリカンドリームが現在どんなかたちで実現しているのか、を始めとした...もっと読む

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コメント

YukariWatanabe 昨日車を運転していら、このコラムに書いたマットが、三叉路の真ん中の芝生に立ってシャボン玉を飛ばしていた。なんだかほっこりした(^^)> 約4年前 replyretweetfavorite

YukariWatanabe 昨日自転車に乗ってる時、このアーティストを見かけて「ハロ〜、マティ!」と手を振ったのであった。「What a great day!」とマティ。> 約5年前 replyretweetfavorite

YukariWatanabe ところで昨日、このアーティストにばったり再会。人生は面白いですw > 約5年前 replyretweetfavorite

Asaco_S I am a rockstar! 5年以上前 replyretweetfavorite