もしカツシンがハリウッドに行っていたら
—— 前編では充実した渡辺謙さんへの取材ついておうかがいしましたが、今度はそれをマンガに落とし込むのがすごいプレッシャーだったんじゃないですか?
吉本浩二(以下、吉本) いやぁ、本当に大変でした。最初の段階では全然ページに収まらなくて。たぶん10ページくらいはオーバーしてたんじゃないかな。それを泣く泣くまとめたんですが、面白いところはなんとか全部マンガにできたのではないかと思います。
—— 泣く泣く削ってしまったエピソード、伺ってもいいですか?
吉本 さっきの一流の話にもつながると思うんですけど、この時代にカツシンさんがいたとして、今のハリウッドならその力をもっと活かせたんじゃないか、カツシンさんのやりたいことがもっとできて、実現できたかもしれないっていうことはすごく言ってました。
—— それは今のハリウッドと、かつての勝新太郎の両方を知っている人にしか言えない言葉ですね。
吉本 『座頭市』の大映では比較的カツシンさんに自由にやることができたんですけど、日本映画の主流はやっぱり当時からきちんと脚本やセットがあって決まったものを作りこむスタイルなんですね。それとカツシンさんのアドリブは、あまり相性がよくなかったのかなと思うところもあって。カツシンさんの話をするときにはよく言われることですけど、時代が早すぎたというか、あの当時すでに国際基準だったのかもしれません。渡辺さんも「今のハリウッドのセットを見せたら、勝さんも喜んで演技したんじゃないか」とおっしゃっていました。
—— 時代を超えた貴重なお話ですね。
吉本 渡辺さんに取材して、改めて役者って凄まじいなと思いましたよ。以前とは明らかに役者を見る目が変わりました。本物であればあるほど、演技が上手いとかセリフを読むのが上手いとか、そういうレベルの話じゃないんでしょうね。
カツシンの話となると嬉しそうに語るスタッフたち
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